Japanese
English
綜説
マグネシウムの臨床的意義
Clinical significance of Magnesium
横山 剛
1
Takeshi Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部内科教室
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.596-602
発行日 1959年7月15日
Published Date 1959/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200787
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マグネシウム(Mg)はNa,K,Caとともに体液を構成する主要な陽イオンの一つであり,成人におげる体内総Mg量は平均25gm.に達するといわれている1)。にもかかわらず,Mgに関する知識は現今なお極めて乏しく,その臨床的意義に関しては不明の点が少なくない。最近十数年間における電解質代謝に関する研究の進歩はまことに目覚しいものがあるが,Mg代謝についてはその研究方法の困難さが災いしてひとりとり残された感がある。Elkinton2)或いはWacker1)らは,現今におけるMgの知識は今から10年ないし15年前のKのそれとよく似ていると考え,今後のこの方面の発展に期待をよせているが,この様にMgに関する研究が他にくらべて遅れた最も大きな理由は,その測定方法がまだ完全に確立していないためである。現在用いられている方法は,titan yellowとの結合を利用したOrange and Rheinの方法3)をはじめ,EDTA法4)5)6),高輝度による炎光分析7)の他,本邦では柳沢氏による独自の方法8)が創案されているが,そのいずれもが多少の欠点をもつていることは否定できず,信頼度の点でなお全く満足すべきものとはいい難い。炎光分析法によるNa,Kの如く,迅速でしかも正確な測定法の完成が切望されるわけであるが,現在ではMgに関するかぎり,実験データを分析する場合にもその測定方法を充分条件にいれて読む必要があると思われる。
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