Japanese
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綜説
輸液の安全限界に関する理論的考察
Theoretical Consideration on Safe-limit of Parenteral Fluid Therapy
加藤 暎一
1
Eiichi Kato
1
1慶応義塾大学内科
1Dept of Int. Med.
pp.902-911
発行日 1958年11月15日
Published Date 1958/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200692
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まえがき
Homeostasisと云う言葉の創始者故Cannon教授は,彼の有名なMonograph"The Wisdom of the Body"の内で,自然治癒力の基盤としてHomeostasisの重要性を強調している1)。Ho—meostasisの中心に位するのが体液バランスであり,此を維持せんとするのが輸液療法の本旨である。本邦に於ける輸液療法の知識は日野原氏2),浅野氏3)等の秀れた入門書の発刊とも合まつてて,近年著しく進歩したが,尚一部には「リンゲルでも葡萄糖でもよいから500cc程皮下にやつておこう。」と云う如き大ざつぱな方法が行われている。
これは体液バランスの重要性は充分認識しているが,水,電解質代謝はどうも難解でとっつき難い,或いはFlame-photometer,Counter等の備つた大きな施設でなくては追及出来ないと云う先入観念も一因となつている。然しBland4)が"No instrument of precision will ever rep—lace that most important and miraculous of all gadgets, the trained mind of a careful observer"と云つて居るように,経験豊かな臨床家の注意深い観察に優る如何なる精巧な機械も存しないのである。
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