焦点 数量化が内包する諸問題
解説
数量的研究の効用と限界
小谷津 孝明
1
1慶応義塾大学文学部心理学教室
pp.275-282
発行日 1983年10月15日
Published Date 1983/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200767
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はじめに
私はこれまで看護学を勉強したことがありません。「看護研究」という研究誌も,この原稿を依頼されて,初めて手にしました。そして,最近の数号を読んだだけですが,大勢の方々が,看護のあるべき姿を追求し,それを学問として体系化するために,たいへんな努力をなさっていることを知りました。なかでも[焦点]における座談会や,[Conference]における研究発表(素材)とその指導(素材をめぐって)などを読みましたときには,何としても看護研究のレベルを高めようとされている,先生方の気迫とプロダクティブな姿勢に心動かされ,病める人を看護するという,人の営みの重さを感じないではいられませんでした。
医学に近接する看護学が科学的であることを志向することは自然だと思いますが,そもそも科学とは何でしょうか。私は,科学とは「ほんとうのこと」を知る努力の連続である,と思っております。ただその方法はいくつかあって,代表的なものをあげると,自然科学的方法と現象学的方法ということになるかと思います。
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