Japanese
English
綜説
心筋代謝研究の限界と進展
Advances in the reserch on the metabolism of heart muscle.
橋本 虎六
1
Koroku Hashimoto
1
1東京大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, University of Tokyo.
pp.76-85
発行日 1958年2月15日
Published Date 1958/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200588
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緒言
心筋代謝に就いては既に内外に相当数の労作があり,筆者も既に2回1)−3)に渉つて論述した。ここにこれを繰返す意志は毛頭ないが,この方面の研究の限界と進歩の見通しをつける事も無意義でないと信ずる。心筋代謝の研究はこれを歴史的に見て3時期を劃する事が出来よう。その第1期は主体が心臓機能の生理学的究明に置かれた時代であり,次は主として心不全を中心とした実験的,臨床的研究の時代であり,その次は心臓外科の進歩に伴つて起つた諸問題解明の時代である。勿論この何れも過ぎ去つた研究対象ではない。特に着色してみればその様にも見られるとの謂である。唯一つ注目に値する事は,心筋代謝の研究も含めて心臓機能を生理学的及び病態生理学的に追究するに当つて現実の問題から拍車をかけられて進歩して来た事である。熱心な先人の努力によつてその限界もはつきりして来たし,又進展の方向も明らかに把握する事も出来よう。以下その限界と展望とに稿を分つて述べてみたいと思う。勿論筆者のおかれた立場即ち生理学並びに薬理学の窓を通して眺めた所のものである。
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