Japanese
English
綜説
心臟及び心筋の代謝
Metabolism of the Heart.
橋本 虎六
1
Koroku HASHIMOTO
1
1東京大学医学部藥理学教室
1Department of Phamachology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.201-207
発行日 1954年7月15日
Published Date 1954/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200160
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1.緒言
エルギーの代謝の問題は云わば最も基礎的なものの一つであろう。しかも生理的藥理的な研究ばかりでなく日常の臨床の研究及び実際にあたつても常に出発点になり又終点になる。従つて生体全体として,更に各臟器毎に1)機能を発揮するためのエネルギーを発生する機構2)発生したエネルギーを保持或は利用する機構に就いて華々しい研究活動があつて,その詳細に通ずる事は容易な業ではない。研究の分野から云うと,生体全体の代謝を取扱い(ホルモン等)或は生体各部分に共通した代謝機構を取扱う全体的な立場と,各臟器の代謝の特殊性から出発する立場とがある。いつの時代でも,何れの研究者もこの両方を何等かの形で綜合して理解して居るのであるが,研究方法,対象等によつて自ら制約を受けるのは当然の事である。筆者の研究は心筋と云う如何にも限定した分野から出発して居るから広い視野に立つ医家の眼から見れば,特殊過ぎるとの感想を持たれるのは必定と思える。出来るだけ全体に気をくばりながら心筋の持つ代謝の特質を述べよう。
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