Japanese
English
特集 Acute Coronary Syndromeの病態を解明する
プラーク破綻から急性心筋梗塞への進展機構
Mechanism of the Process from Plaque Disruption to Acute Myocardial Infarction
林 孝浩
1
,
石川 欽司
1
Takahiro Hayashi
1
,
Kinji Ishikawa
1
1近畿大学医学部循環器内科
pp.25-31
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100003
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はじめに
1992年にFusterら1)は脂質に富んだプラークが破裂することにより血栓が形成され,それに伴い血流が障害され,急性心筋梗塞や不安定狭心症が発症するとした急性冠症候群の概念を記載した総説を発表した(図1).この説明の巧みさから心筋梗塞の発症機序が冠動脈内のプラークの破綻に伴う血栓形成を契機に冠閉塞が生じることであるとの概念が浸透していった.臨床的に心筋梗塞が動脈硬化を基盤とした冠動脈血栓症であることを認識させたのは,1970年代後半から施行され始めた心筋梗塞急性期の血栓溶解療法の普及である.また,血栓溶解療法による再開通の結果,梗塞責任冠動脈の冠動脈狭窄度が必ずしも高度狭窄を示さなかったこともプラーク破綻の理解を高めた一因と考えられる.
今回,心筋梗塞発症機序解明の歴史的背景をふまえ,プラーク破綻から急性心筋梗塞への進展機構について述べる.
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