Japanese
English
方法と装置
合成樹脂による冠血管系鋳型標本の観察
Observation about the Cast of coronal Vessels. by means of synthetic resin.
長谷川 恒雄
1
,
野上 秀夫
1
Tunewo Hasegawa
1
,
Hideo Nogami
1
1慶大内科
1Depertment of Internal medicine, School of medicine, KEIO University
pp.791-795
発行日 1957年11月15日
Published Date 1957/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200553
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
観察法
前述した方法によつて作成せられた冠血管合成樹脂鋳型は,冠動・静脈の位置,形状,走行及び構造をそのまゝ表現しているので,冠血管系の解剖学的検索を行う上には,最もすぐれた方法の一つと考えられる。従来,吾々は冠血管系に就いて,解剖学で示された知織や,実際に心臓を摘出してその表面を走る動・静脈系を観察して得た知識,或は組織学や病理組織学より得られた知識によつて理解しているに過ぎないため,各動・静脈の詳細な走行及び構造を知ることが出来なかつた。然し,吾々臨床家で特に冠循環に興味をもつ者にとつては冠」血管系の立体的構造を一目瞭然に理解し得る方法が望ましいのであつて,これより冠循環の基本的な血流力学的問題,冠循環障害の発生及び代償機序,並に測定上の問題を追求したいのである。この要望は,これまで多くの人によつて試みられた冠血管造影法,色素注入法による血管内色素の観察,セロイジン注入による連続組織切片標本観察法では達成しがたいものであり,本法によりようやく満足する域に到達したように思われる。この合成樹脂鋳型標本によれば,心筋表面に分布する動脈系及び静脈系は直視下に観察でき,走行,大きさ,分技,吻合及び分布を理解することができる。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.