Japanese
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方法と装置
肝血管及び膽管の合成樹脂塑型標本の作り方
How to Make a Plastic Sample of the Liverblood vessels and the Gall-duet
豊島 博忠
1,2
1京都大学結核研究所外科療法部
2高知赤十字病院呼吸器科
pp.547-554
発行日 1956年7月15日
Published Date 1956/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200392
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緒 言
肝内の血管及び胆管の走行,分岐形式,分布域等の立体的観察は,1888年既にRexによつて行われている。その後,1952年のEliasに至るまでの間に,Muller, Mall, Segall, Melnikoff,Hjortsjo及び新井等,多くの研究者によつて,ゼラチン,チエロイジン,石膏,パラフィン,アセト醋酸及びウツドの合金等,幾多の注入物が使用されて,肝内血管及び胆管の立体的観察がなされている。以上の各種の注入物は,肝内血管及び胆管の塑型標本を作製する目的物としては夫々に長所があり,又短所もあるのであるが,共通の短所としては,何れも毛細管の様な極めて細い管腔に対する注入を行い得ない点が挙げられる。しかしながら,近年の目ざましい合成樹脂化学の進歩に伴い,この様な細い管腔にも注入し得る樹脂が登場するに至つた。昭和22年に長石・辻・美濃口等はいち早く合成樹指の医学的利用に着眼して,胸部手術の際の肋膜外充填物として樹指を利用したが,昭和27年に長沢・山下等は肺の血管及び気管支に,著者は肝の血管及び胆管に合成樹脂を注入して塑型を作製し,夫々肺及び肝の解剖学的諸観察を試みる課題が同教授から与えられた。我々の使用した樹脂注入法では,第1図から第13図までに示す様に,従来の注入物では行い得なかつた様な繊細な管腔までの注入が可能であつて,在来の夫れの共通の短所を補うことが出来た様に考えられる。
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