Japanese
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講座
臨床心音図学・1
Clinical Phonocardiography
上田 英雄
1
,
吉村 正蔵
1
,
海渡 五郎
1
Hideo Ueda
1
,
Shozo Yoshimura
1
,
Goro Kaito
1
1東京慈恵会医科大学上田内科学教室
1The 1st Department of Internal Medicine, Tokyo Jikei-kai School of Medicine
pp.345-352
発行日 1957年5月15日
Published Date 1957/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200497
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まえがき
心臓循環器の診断に聴診は最も基本的,原始的方法でありながら,極めて重要なもので,特に弁膜症,先天性心疾患では,聴診が最上決定的の診断法と称しても過言ではない。併し周知のように心臓の聴診に習熟することは必ずしも容易でなく,従つて聴診法を機機化して心音及び心雑音を記録し,客観的に精密な分析をしようとする試みは古くからあつた。今世紀の始めの火焔法とでも称すべき,火焔を音波で振動させ,煤煙の黒輪の変化とさせた時代から,ゲラチン膜鏡を振動させた膜面法の時代となつた。此の時にO. Frankは採音器に装置した弁で,低周波部分を除き,後に述べるlogarithmicに相当する心音図記録に成功した。その後電気的方法が発達し炭素型マイクロホンや,弦線心電計が利用され今日の電子波工学を応用した心音計の時代に至つた。この間我が国では京大真下内科1)で吉岡,小泉,日野原氏等による研究が早期より行われ,その後山川2)3)4)の業績が発表された。我々も従来心音計及び心音図の研究を行い,成果を数次に亘り発表してきたが,この度,講座を担当するにあたり余り専問的に亘ることなく臨床応用面を主として記述を進めるつもりである。
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