Japanese
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綜説
心音図の理論と実際—心音・心雑音の周波数—強度特性を中心として
The Principle and Practice of Phonocardiography
吉村 正蔵
1
Shozo Yoshimura
1
1東京慈恵会医科大学第一内科
11st Medical Clinic, Tokyo Jikeikai Medical College.
pp.555-566
発行日 1960年8月15日
Published Date 1960/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200914
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I.緒言
今日一般臨床で謂う心音・心雑音とは,心活動に由来する胸壁振動の中の可聴域の部分を指している。併し,可聴域下の極めて低い周波数即ち20サイクル/秒以下の振動も心臓活動による胸壁振動であり,物理的にも同一のDimensionを有している。従つて可聴域下の超低周波を対象とするVibrocardiogramも広義の意味の心音図であり,近時心臓の機械現象或いは血行動態の非観血的な分析手段として重視されるに至つている1)2)。併し,今回の報告では研究の対象を狭義の心音図として,可聴域の心音・心雑音に限つた。
聴診所見の客観化・精密化を目的とするこの狭義の心音図は,最近著しく発達し臨床的要求に充分応ぜられるようになつて来たが尚,二,三の根本的問題が未解決のまま残されている。例えば心活動により生ずる胸壁振動の,周波数—強度特性の解明は,心音計設計上不可欠のものであるに拘わらず,その報告は極めて少い。本稿では先ず心音計設計上の特殊性,及び著者らの既に発表した多段階心音計について述べる。次いで心音計用マイクロホンの較正と,心音心雑音の周波数分特性の研究結果,及びそれを基として設計した新しい心音計について述べる。
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