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講座
臨床心音図学・6—臨床篇4.心雑音,負荷心音図,胎児心音図
Clinical Phonocardiography
上田 英雄
1
,
吉村 正蔵
1
,
海渡 五郎
1
Hideo Ueda
1
,
Shozo Yoshimura
1
,
Goro Kaito
1
1東京慈恵会医科大学第一内科学教室
1Tokyo Jikei-kai School of Medicine
pp.767-780
発行日 1957年11月15日
Published Date 1957/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200551
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Ⅰ.機能性雑音
機能性雑音(functional murmur)は心機能正常なものに聞かれる雑音で殆んど収縮期性である。Evansは無害性雑音(innocent murmur)と呼び,同じく心臓に病理解剖的変化のないものに聞かれる雑音を指している1)。Whiteは生理的(physiologic)雑音と名付けたが2),その他には偶発性(incidental, accidental),原因不明性(unknown origin)と呼ばれる。又Schmidt—Voigtは非弁膜性雑音中の一つとして,偶発性雑音(akzidentelles Gerausch)と称している3)。Holldackは機能性雑音(funktionelles Gerau—sch)として相対的弁閉鎖不全雑音や,貧血症等の心雑音のように非弁膜性ではあるが,病理的なものを意味させ,一般の非病理性のものを偶発性雑音(akzidentelles Gerausch)と呼んでいる4)。Butterworthは弁膜異常,相対的弁閉鎖不全(所謂弁無能症)先天性心中隔欠損や大血管異常の病理的雑音に対して,非病理的雑音(nonpatholo—gic murmur)と云う語を用い,innocentやfunctionalの語は不適当であるとしている5)。上記のように機能性雑音は色々に呼ばれ,又同じ言葉でも学者により含む内容を異にしている。
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