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綜説
門脈循環
Portal Circulation
友田 正信
1
,
矢毛石 陽三
1
M. TOMODA
1
,
Y. YAKEISHI
1
1九州大学医学部友田外科教室
1Tomoda Surgical Clinic, Faculty of Medicine, Kyushu University
pp.582-593
発行日 1956年8月15日
Published Date 1956/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200398
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まえがき
門脈は胃,腸管,脾臓などの諸臓器の静脈血を収容して肝臓へ送り込んでおり,他の静脈とは異つた意義をもつ血管である。門脈は解剖学的に特殊であり,且つ代謝に密接な関係をもつことは周知のところであるが,また門脈の循環(肝臓,脾臓,胃,腸管などの血行動態を綜合した広い意味での)が生体の一般循環の中で占める役割は極めて重要である。
門脈本幹の結紮遮断,或は肝の広汎切除によつて動物では短時間内に死をまぬがれ得ないとされているが,これは門脈流域血行の鬱滞が右心房への血液還流を減少せしめ,従つて脳,肺,心臓などの大小循環系に属する重要臓器に貧血及びアノキシアを招き,短時間内に生命をうばうに至るものと考えられる。
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