Japanese
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診療指針
心臓急搏症の治療法
Treatment of Paroxysmal Tachycardias
鴫谷 亮一
1
R. SHIGIYA
1
1国立東京第一病院
11st National Hospital of Tokyo
pp.419-424
発行日 1956年5月15日
Published Date 1956/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200369
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Ⅰはじめに
心臓頻搏症は頻脈の一種ではあるが単なる頻脈と異り,はつきり独立した病的状態である。頻脈の場合は心臓間の調律の中枢(大部分の場合洞房結節)が,心臓外の要求に応じ,分時搏出量を増加させるために起つている出来事である。これに反し頻搏症は心搏動のリズムを起す機構そのものが病的に変化しているものである。従つてその治療もこの異常調律それ自身を正常に還す手段を構じなくてはならない。この意味に於て頻搏症の治療法は心臓病治療学に於て独立した一章をなすものと云い得る。しかし頻搏症そのものは単一な状態ではない。異常調律の中枢となる場所によつて心房性,房室結節性,心室性急搏症に分類される。又この各々の急搏症がその起り方によつていくつかに分類される。唯,各急搏症に共通なことは,その起り方が極めて突然で,臨床上,心電図上その発症時期を劃然と定める事が出来る。即ち脉搏数が突如一分間130以上となり(例外的な場合にはこれ以下の事もある),又停止する際も突如として脉搏数が減少し,今迄の異状調律が正常調律にもどる点は総べてに共通である。
治療の面からみればその起り方の種類よりも,その起る場所によつて治療法が相異する故,以下にその場所による分類に従つて述べる事とする。
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