原著
P32法其の他による心搏出量測定—心肺性血液動態に關する研究,第2報
細野 淸士
1
1慶應義塾大學醫學部内科教室
pp.245-249
発行日 1953年9月15日
Published Date 1953/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200114
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.緒言
心搏出量測定には古くアセチレン法,色素法があつたが,近年心臟カテーテル法が行われる樣になつてからFickの直接法による測定が可能となり,之によつて最も正確な値が得られるに至つた。然しFick法を行うには心臟カテーテルを用いて混合静脈血を採る必要があり日常外來の檢査或は頻回の檢査等には不適當である。最近Hamilton1)はT1824色素を用い,Nylin2)は放射性同位元素P32を用いて夫々正確に心搏出量を測定し得ることを述べている。放射性同位元素I131も用いられ,他方レントゲン・エレクトロ・カイモグラブイー,バリストカーヂオグラフイー,ear oximeter等の非觀血的檢査も漸次行われつゝある。
此等の方法の中最も一般に用いられているのはP32及T1824である。T1824が肺を通過する際に失われゝば,T1824法によつて算出した心搏出量は過大となるが,Dow3)等は犬に於ける實驗でそれを無視し得ることを述べ,La—wson4)は犬に於てP32法,T1824法による心搏出量は略一致することを報告した。著者は各種疾患に於てP32及T1824を併用して心搏出量を測定し兩者の値々比較檢討せんとして本實驗を行つた。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.