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文献抄録
フアロー氏四徴症と肺動脉狭窄症の聽診及び心音図所見,他
The Role of Auscultation in the Dtermination of Fallot's tetralogy from severe pulmonary stenosis with intact ventricular septum and right to left interatrial shunt
正津
1
1慶大外科
pp.411
発行日 1956年5月15日
Published Date 1956/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200367
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肺動脈狭窄症では,第2心音は著明に分裂している。これは右室収縮期間が左室より長いため,肺動脈第2音が,大動脈第2音より遅れるためである。フアローでは第2心音が異常に大きく聞こえることがあるが,これは大動脈右位のため,大動脈弁が前胸壁に近くなるためである。そして第2音は一般に分裂しない。これは肺動脈拡張期圧が低いため,肺動脈弁の閉鎖音が聴こえず,大動脈弁のそれのみ聴えるためである。しかし肺動脈圧がある程度高いと,肺動脈第2音の遅れが記録され,分裂されて聴こえることがある.又吻合手術により肺血流量が増加すると,術前単一であつた第2音が,はつきり分裂して聞こえるようになる。
収縮期雑音は両者共粗であるが,重症なフアローでは軟い雑音を呈することもある。狭窄が弁型のときは2〜3肋間,漏斗型のときは2〜4肋間が最強点である。フアローでは収縮期雑音は第1音のすぐ後よりはじまり,拡張中期に最強となり,それより急に減じて大動脈第2音の前で終る。これは左右心室が単心室として機能を営なみ,且肺動脈への血流は少なく主として収縮期のはじめに流れるため,大動脈弁の閉鎖する時にはすでに肺動脈への血流は止まつていることを示す。それに比し肺動脈狭窄症では収縮期雑音はより延長して聴こえ,大動脈第2音を越え遅延せる肺動脈第2音の前で終る。これは右室収縮期が左室より長いためである。
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