Japanese
English
症例
一側の肺動脈幹結紮を受けた例の肺循環
Cardio-pulmonary hemodynamics after the ligation of one sided pulmonary stem.
茂又 真祐
1
,
富井 信明
1
,
稲垣 義明
1
,
中村 精男
1
,
小池 通靖
1
S. MOMATA
1
1千葉大学医学部第二内科
12nd Department of Internal Medicine, School of Medicine, Chiba University
pp.201-206
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200339
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
緒 言
最近,気管枝動脈系について,いろいろと問題が提起され,これにかんする発表もすくなくない。とくに気管枝動脈と肺動脈間の吻合の存在については,現在なお,見解の一致をみない。しかし,一般に健常人においては毛細管吻合がみられるだけであると信じられている。Miller (1947)はイヌでgelatin加Berlin blue注射法によつて検索し,両血管の吻合は毛細管網をへるものだけであつて前毛細管性吻合はないといつている。Hayek (1939)は肺にもSperrarterieがあることを提唱した。Sperrarterieの内膜には縦走平滑筋線維が多層あり,外膜には輪状平滑筋線維があり,自由に内腔を開閉することができ,動静脈吻合に重要な役割をもつている特殊な血管である。氏は,このSperrarterieは肺動脈の枝より発していると考えている。そして気管枝壁の静脈網と吻合し,さらにこの静脈網の血流は肺静脈にそそぎ,こゝに毛細管網をへないKurzschlussを形成するとのべている。一方動物をもちいての肺動脈結紮実験についても多くの発表があるが,Liebow(1950)はイヌで肺動脈結紮をおこない,12週以内に前毛細管吻合が生じることを報告している。また,Bloomer et al (1949)は,イヌの肺動脈結紮後,同側肺の呼吸機能検査,有効気管枝動脈血流量の測定などをおこない興味ある成績を発表している。
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.