Japanese
English
原著
肺機能検査法としての一側肺動脈閉塞試験の価値(II)—一般肺機能検査との比較
An Evaluation of Unilateral Pulmonary Artery Occlusion Test with Special Reference to Comparison with Other Pulmonary Function Tests.
稲田 潔
1
,
長井 禹夫
1
,
池田 容昻
1
,
志水 浩
1
,
岡本 孝之
1
K. Inada
1
,
N. Nagai
1
,
Y. Ikeda
1
,
H. Shimizu
1
,
T. Okamoto
1
1岡山大学医学部砂田外科教室
1Sunada Surgical Division, Okayama University Medical School.
pp.845-850
発行日 1959年9月15日
Published Date 1959/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200815
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最近の胸部外科の進歩は著しく,ことに肺外科においては一応一定の基準に達し,肺切除術の安全性は極めて高く現在では日常一般外科の手術といえるほど普及している。しかし肺癌に対する切除療法は肺結核の場合と異り老齡者が多く,また一般悪性腫瘍と同様リンパ節廓清を伴う広汎切除を理想とし,多量の正常組織を急激に喪失するため心肺系に及ぼす影響も強く,手術による直接死亡も決して少くなく諸家の統計をみても10〜20%前後である。したがつてこのような場合術前にその心肺予備力を正確にしることは手術の安全性,術後作業能力の推定,手術方法の決定に関して重要な指針を与えるものである。この目的のため私達は1側肺動脈閉塞試験をとりあげ,1側肺動脈急性閉塞の呼吸,循環系におよぼす影響を検し,本法は1側肺全摘出術の適応決定上有力な方法になりうることをすでに報告した1)。
その後さらに例数をかさね現在まで肺癌24例,肺結核48例,計72例について本検査を行い,本法の肺機能検査法としての価値,とくにいわゆるborder-line caseの適応決定上もつとも有力な方法であることを確認しえた。しかし本法はやや複雑な装置と熟練を要するため広く一般に実施しえない欠点があり,何か他に本法にかわりうるような簡単な方法,あるいはすくなくとも本法による検査成績と密接な相関々係を布するような他の検査法があれば極めて便利であり,また切望されることでもある。
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