Japanese
English
綜説
新肝静脈撮影法に就いて
The New Method of Hepatic Venography
後藤田 昭一
1
,
高島 信治
1
S. GOTODA
1
,
S. TAKASHIMA
1
1北海道大学外科教室
1Ⅰst Surgical Department of Hokkaido University
pp.139-142
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200331
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緒 言
レ線像の得られない処に外科は無い程,外科の進歩はレ線学に負う処が大である。特に最近肝臓,門脈外科の進歩は多くの肝内外脈管及び肝造影法を生み,この方面の研究に新な分野を展開せんとしているが,多くは求肝性即ち門脈系肝動脈系撮影法で,いずれも撮影手技が困難且つ煩雑であるために,日常簡単に使用し得ないのは本臓器の解剖生理学的特性より首肯し得る処である。従来肝疾患特に肝腫瘍の診断は多くは触診により行われ,一度腫瘤を触れてもそれが肝腫瘍か否かの診断は仲々困難であり,数多くある肝機能検査でもそれを鑑別し得ない現況である。
因に肝臓のレ線学的造影の歴史を振返えると,先ず陰性造影としてLoeffor1)(1914)は胃腸管に送気してレ線吸收率の相異により肝影像を得ようとする方法,或いは人工気腹法等も考えられた2)。次に陽性造影法として本邦の岡,三友3)4)(1928)が二酸化トリウムゾル(ThO2—sol, Umbrathol od. Thorotrast)の投与により肝臓の網状内皮細胞系に吸收せしめて肝臓造影を考えたが,後遺症の為めに使用されていない。又dos Santos5)(1925)は大動脈直接穿刺により肝造影を行いその後多くの追試研究改良6)がある。又経脾的門脈肝造影法は本邦に於いて副島,斎藤7)(1953)及びAbeatici et Campi8)(1952)により行われている。
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