Japanese
English
綜説
逆行性大動脈撮影法に就いて
Retrograde Aortography
田口 一美
1
,
小西 等
1
,
井元 進
1
,
寺本 滋
1
Kazumi Taguchi
1
,
Hitoshi Konishi
1
,
Susumu Imoto
1
,
Shigeru Teramoto
1
1岡山大学医学部津田外科教室
1Department of Surgery Okayama University Medical School
pp.512-525
発行日 1958年7月15日
Published Date 1958/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200646
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緒言
近年に於ける心臓大血管外科の進歩。心肺機能の研究の発展に伴い,その診断方法あるいは研究方法の進歩は誠に著しいものがある。診断方法の進歩のみをみても,右心「カテーテル」法は勿論,心臓血管連続撮影法,左房穿刺,左心「カテーテル」法,逆行性大動脈撮影法等,すべて安全な心臓大血管外科の臨床実施のためには現在ではもはや欠くことのできない状態である。右心「カテーテル」法は基礎となる成績を与える意味で重要かつ普遍的な方法ではあるが,左心系の疾患に対しては有力でない。したがつて左心系及び大動脈の疾患に対しては心臓血管連続撮影法以下の方法の実施がしばしば必要である。
さて,ここに述べんとする逆行性大動脈撮影法は大動脈は勿論,大動脈・肺動脈短絡症,大動脈基部短絡症,上位心室短絡症,比較的中枢に近い末梢動脈疾患,時には冠動脈疾患等の診断に決定的な資料を提供するものであつて,その臨床的意義はきわめて大であると云いうる。しかしながら本法は後述のように副作用も決して少ないと云えず,また時には致死的でさえある。したがつて本法実施にあたつては本法に対する充分な知識のもとに適応を厳重に選定することが望ましい。われわれは上述のような目的のために現在まで13例の臨床実施例を経験したが,これらの例を中心に本法の適応,臨床的意義,副作用等を総括的に報告したいと思う。
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