Japanese
English
綜説
呼吸障害者について
Pulmonary Crippled Patients
宮本 忍
1
S. MIYAMOTO
1
1国立東京療養所外科
1Tokyo National Sanatorium
pp.133-137
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200330
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昭和15年(1940年)9月30日から昭和22年(1947年)5月30日に至るまでの6年9ヵ月間にわれわれが経験した胸廓成形術の症例は約400例で,死亡は67例である。これを直接死(48時間以内),早期死(2ヵ月以内),晩期死(2ヵ月以上)の3種に分けると,呼吸機能不全3例が直接死の半数を占めている。晩期死は32例で,その原因の第1は肺結核の増悪,第2は腸結核である。呼吸機能不全の3例は第1次手術(第1〜4)肋骨切除で死亡したもので,化学療法の行われなかつたためではない。これに反し晩期死のうちで,腸結核の11例,は化学療法により死をまぬかれたものと考えられる。肺結核の増悪13例中,対側肺への進展が7例病肺の悪化が6例となつているが,これらのうちで対側肺の全く健康であつたものはわずか2例にすぎず,しかも2例とも作業療法の途中で対側肺へ進展をおこしたものである。化学療法の進歩によつて,結核の進展や増悪を阻止し晩期死の相当数を救い得ることができるようになつたことは周知の事実である。しかし,今日といえども呼吸機能不全による手術直後の死亡者は跡を絶つたわけではないし,また虚脱療法や膿胸などの合併症によつて呼吸障害をおこし,慢性肺性心の状態で死亡するものも決して少なくない。むしろ,後者のほうが目立ちつつあるのが現状である。
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