Japanese
English
綜説
僧帽弁々膜障碍に於ける気管支靜脈系に就いて
Studies on the Bronchial Veins in Mitral Valve Diseases.
雲井 康晴
1
,
豊田 祐三
1
,
富田 惠一
1
Yasuharu KUMOI
1
1大阪大学医学部第一外科教室
1Department of 1st. Surgical Clinic. School of Medicine, Osaka University
pp.276-282
発行日 1955年5月15日
Published Date 1955/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200233
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
僧帽弁々膜障碍特に弁口狭窄に於ける気管支静脈系の役割に関して,Proft1)及びFerguson等2)は本血管系が肺静脈系に対して減圧作用を有する事を示唆した。其後Bland等3)がこの見地に立つて僧帽弁口狭窄に於ける肺静脈圧上昇を大循環系に転換する為奇静脈と肺静脈との短絡手術を行つた。吾教室に於いては心房隔壁欠損作成により僧帽弁閉鎖不全によつて生じた肺静脈圧上昇が防がれる事を実験的並に臨床的に証明した4)5)。Gilroy等6)は気管支静脈系に関して詳細な解剖学的検索を行い従来認められて来たMiller7)の所説を訂正し「減圧機構」は彼等の謂う「肋膜肺門部気管支静脈」であり本来の気管支静脈系と区別した。然し乍ら僧帽弁膜障碍に於ける肺静脈圧上昇に際して気管支静脈系が正常の場合に比し如何なる変化を示すかに就いては未だ実験的研究は行われて居らない為,本血管系に関する学説も明確を欠く所が尠くない。又僧帽弁口狭窄に往々見られる肺出血に関しても果してそれが「気管支静脈瘤」の破裂等によつて説明せらるべきかは疑なしとは云えない。従つて吾々は肺静脇圧上昇を実験的に形成しこの場合に見られる気管支静脈系の変化を追究した。本稿は従来発表せられた業績を紹介すると共に吾々の実験成績の概要を述べんとするものである。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.