特集 眼科臨床の進歩Ⅱ
緑内障
房水靜脈
淺山 亮二
1
,
岸本 正雄
1
1京都大學
pp.916-927
発行日 1953年11月10日
Published Date 1953/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201647
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1942年の初頭にアメリカのK,W.Ascherが眼球表面の靜脈にして,その中を房水が流れている脈管のあることを初めて記載し,本脈管をaque-ous veins (房水靜脈,Kammerwasservenen,veines aqueuses,以下本文中ではaq. v.と略す)と命名した。本脈管の發見によつて(彼の記載によれば發見は1941年5月であつたと云う),房水の更新流動に關して永らく論爭されていた持續的流動説,斷續的流動説に對して,前者に對する決定的證明となり,その發見は一應劃期的のものとして敬意を表さねばならない。所が生體顯微鏡が眼科的検査の使用に供されて以來既に長年月を經過し,眼球表面血管の生體顯微鏡的觀察に從事した人も多數あるに拘らず,後述のような特徴的外觀を持つ本脈管が氣付かれずに看過されたと云うことは,Ascherも指摘しているように全く不思議と云う外はない。
我國に本脈管が紹介されたのは,勿論終戰後漸くにして外國文献を直接閲覽し得るようになつてからであつて,若干數の人々によつて注目の跡が窺えるのは昭和26年以降である。著者の1人岸本も昭和26年の前半以來本脈管の臨床的觀察に從事して,その成績を既に2回に亙つて發表した。
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