Japanese
English
綜説
気管支動脈
Bronchial artery.
靑木 貞章
1
Teisho AOKI
1
1慶応義塾大学医学部病理学教室
1Department of Pathology, School of Medicine, Keio University.
pp.259-267
発行日 1954年9月15日
Published Date 1954/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200170
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肺の血液循環は大循環系に属する気管支動静脈系と小循環に属する肺動静脈系の2種類の血管系より成立しているが,肺動静脈系の広範な研究に比較して,気管支動静脈系の研究は未だ充分に明確にされていない点を数多く含んでいる。而し,気管支動脈の研究は既に約300年前から文献中に認められ,Hyrtl (1873)に依ると,16世紀の初めGallenは肺内に大動脈枝が存在する事を主張している。一時Columbusに依つてその存在は否定されたが,Marchettis (1656),Ruysch(1721)の研究に依つて気管支動脈の発見が再び報告された。その後,Reisseissen (1822)に依つて気管支動脈は肺実質及び気管支壁の栄養血管である事が明らかにされ,以来気管支動脈の研究が種々報告されている。吻合に就ても古来幾多の文献があるが,毛細管性,前毛細管性,動脈性,動静脈性等の吻合が報告されているが,未だ一致した見解に到達していない。我が国に於ては気管支動脈の研究は,欧米に比して極めて少いが,近時,肺外科の急速な進歩と,Cournand等の心カテーテリスムスの発達に伴い,肺機能に重要な影響を与える興味ある問題として内,外科等各部門に於て新たに注目されるに至つた。
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