巻頭言
「呼吸と循環」と体温
田坂 定孝
1
1東京大学
pp.258
発行日 1954年9月15日
Published Date 1954/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200169
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生体の各臟器,組織中においては,その機能保持のために,常に代謝が行われ,いわゆる化学的温熱生成が起る。これが伝導によつて,又,血液リンパ等の循環によつて,各臟器,組織間に平均化され,さらに必要以上の温熱は放散されて,一定の体温を保持するようになつていることは,生理学初歩の知識である。又,この温熱の生成と放散を適宜調節して,生体の温度を常に恒常に保持するための体温調節中枢が視床下部に存在することもよく知られている。
哺乳動物の体内温度分布をみると,普通,肝,直腸,筋,心筋,皮膚の順に高い。これは,その局所における熱生成の量,血流速度,血流量,生体における解剖的位置,その組織又は臟器の大いさ等によつて影響されるものであるから,その高さがそのまま温熱生成の順位を示すものではない。
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