特集 解剖学的変異を考慮した上部消化管手術
気管支動脈走行に応じたリンパ節郭清─左気管支動脈の確実な温存のための手順
菊池 寛利
1
,
松本 知拓
1
,
平松 良浩
1
,
神谷 欣志
1
,
竹内 裕也
1
1浜松医科大学外科学第二講座
キーワード:
造影CT
,
血管再構築
,
術前シミュレーション
Keyword:
造影CT
,
血管再構築
,
術前シミュレーション
pp.1293-1298
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001822
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胸部食道癌に対する食道切除再建術は頸部,胸部,腹部の3領域にわたるリンパ節郭清が基本であり手術侵襲も大きく,術後合併症は縫合不全,反回神経麻痺,肺炎など多岐にわたり,発生頻度も高い1)。とくに呼吸器系の合併症が多く,片肺換気による胸部操作の影響のほか,リンパ節郭清操作に伴う気管血流の低下も一因と考えられている2)。また,気管の虚血に伴う気道系の合併症はいったん発症すると治療が困難で,重篤な経過から致死的となり得る。左右気管支動脈の走行パターンは複数あるため3),術前に気管支動脈の走行を確認しておくことは術中出血や術後の気管血流障害を予防するために重要であり,造影CT画像を用いた3次元血管再構築(3D-CTA)による気管支動脈描出の有用性が報告されている4-6)。
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