Japanese
English
綜説
肺結核外科に於ける肺循環について
Pulrmonarv Circulation on the Surgical Trcatment of Pulmonary Tuberculosis
高橋 雅俊
1
,
早田 義博
1
,
三宅 有
1
,
野澤 直道
1
,
荒川 雅久
1
,
掛川 達夫
1
,
片根 寬郞
1
,
木平 廣
1
,
上野 茂之
1
,
久米 公夫
1
TAKAHASHI Masatos i
1
1Department of Surgery, Tokyo Medical Collage
pp.279-286
発行日 1953年11月15日
Published Date 1953/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200120
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〔Ⅰ〕まえがき
肺機能は主として換氣機能と肺循環の2面より觀察されるが,この兩機能は終局的には肺胞に於けるガス交換の面で最も密接な相關關係にあるのである。換氣機能に關しては,從來迄,多くの先人によつて研究せられたが,何れも左右の總合的な値によつて検討せられたのである。近年に至りブロンコスピロメトリーが臨床的に實施せられる樣になつてから左右別の機能が検討される樣になり,特に胸部外科の領域では重要性を認められ,既に胸成術の影響に關してはZeiner (1948)によつて報告せられている。本邦に於ては著者等(1950)の報告に次いで手術の影響が左右別に論ぜられる樣になつて來た。即ち肺機能の面から觀察すると胸成術,肺葉切除術は共に術側と健側が兩側性に低下していて,これが代償は呼吸運動の増強によつて補われている樣に考えられるが,この場合に肺循環の面では如何なる變化が起つているものかと云う重大な問題に關しては,左右別酸素消費量及酸酸素當量等によつて推定せられたのみであつた。即ち肺循環の臨床的研究は困難な爲めに今日迄最も取り殘された分野であつた。然し近年心臓カテーテル法の進歩によつて,これが肺循環の研究を始めとして,心臓,大血管疾患の診斷に應用されるに至り,本邦に於いては小林,笹本,井上,田坂氏等によつて紹介せられ,この方面の緒口がついたのであるが,未だ業績が尠く,特に左右別に觀察した報告はない。
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