Japanese
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Current Opinion
間質性肺炎合併肺癌の治療
Treatment for Lung Cancer with Interstitial Pneumonia
小山 信之
1
Nobuyuki Koyama
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター呼吸器科
1Department of Respiratory Medicine, Jichi Medical University Saitama Medical Center
pp.1102-1108
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200038
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[1]間質性肺炎と肺癌
間質性肺炎と肺癌は難治性の呼吸疾患だが両疾患の合併が多いことは以前から報告されている1).間質性肺炎には原因,画像,病理所見などにより様々な疾患,病態が含まれるが,特発性間質性肺炎,なかでもその多くを占める特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)は肺癌術後肺の7.5%に認められたとも報告されている2).間質性肺炎,肺癌には加齢,喫煙など共通の発症因子があり,分子生物学的にもp53,FHIT,hTERTなどの遺伝子変異やエピジェネティックな変化,シグナル伝達経路の活性化,アポトーシス異常,マイクロRNA発現変化など共通の因子が両疾患の病態に関与していることが報告されており,表現型は異なるが生物学的には類似の病態かもしれない.過去の報告では間質性肺炎患者における肺癌合併率は4.4〜38%であり1,3〜7),臨床の現場においてわれわれも出会うことが多い.間質性肺炎合併肺癌の治療における最大の問題点は間質性肺炎急性増悪であり,薬物治療,胸部放射線治療,外科治療のいずれでも起こりうる合併症である.いったん発症すると死亡率も高く,回復してもその後の癌治療が困難となることが多い.しかしながら,これまでの報告の多くは小規模な後ろ向き研究であり,ランダム化第三相試験のような大規模臨床試験の結果がないのが現状である.報告は日本からも多く,実際このような病態は日本人に多いなど人種差が関与している可能性が考えられており8),日本人の肺癌診療に携わるわれわれは標準治療に至るエビデンスの確立を急ぐ必要がある.
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