Japanese
English
特集 CABGを科学する
序文
Scientific Evidence in Coronary Artery Bypass Grafting
高梨 秀一郎
1
Shuichiro Takanashi
1
1榊原記念病院心臓血管外科
1Department of Cardiovascular Surgery, Sakakibara Heart Institute
pp.1016-1017
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200024
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CABGは1967年にFavaloroらによって提唱され,70年代になり近代外科手術のなかでも最も治療効果の高い手術として爆発的に広まった.一方,カテーテル治療であるPCIもステントや昨今のDESなど,デバイスの急速な進歩により,PCIのアキレス腱と言われてきた再狭窄がかなり克服され,これまで適応外と考えられていた3枝病変や左主幹部病変(left main trunk;LMT)に対しても積極的に施行されるようになってきた.
冠動脈病変に対するこれら2つの異なった治療法は,1990年代になって比較のための数多くのRCTによってその生命予後改善に対する両者の違いが明らかになった.いずれの試験の結果からもCABGの圧倒的優位性が示され,CABGがこの分野におけるゴールデンスタンダードとなる,いや,そのはずであった.CABGはその生命予後やイベント発生においてPCIに優る治療であることをいくら声高に叫んだところで実臨床の世界では,いかなる病変に対してもまずPCIを,という考えになる.これを是正するためにCABGの長期予後を左右するグラフトの開存性に関して一歩踏み込んで様々な方向からの検証を行い,科学的に分析することを主眼として,本特集を企画した.
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