特集 今求められる結核対策(1)—知っておきたい結核の基礎知識
世界の結核対策の動向
須知 雅史
1
1(財)結核予防会結核研究所国際協力部企画調査科
pp.452-456
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902199
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
世界の結核の現状
結核は,多くの国々で公衆衛生上の問題として長年にわたって無視され続け,その結果,開発途上国では成人における単一の病原体による主な死因であり続けている。また,根絶可能かと思われた先進諸国においても,移民の増加や対策の手抜きなど,さまざまな理由からその減少の鈍化や増加が見られ,世界中で「再興感染症」として注目を集めている。日本においても,その理由は多少異なるが,「結核緊急事態宣言」が出されたのは記憶に新しい。しかし近年,世界保健機関(WHO)や各国の努力によって,DOTS戦略(WHOの推奨する結核対策戦略。ブランド名であるが,もともとはDirectly Observed Treatment, Short-courseの略。詳細はp474を参照)を実施している地域の拡大により,それら地域からの患者届出の増加が加速されるなど,効果的な結核対策が確実に拡がる兆しも見えてきている。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.