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あとがき
平山 篤志
pp.696
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102272
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近年すべての医療行為が患者の生命予後を指標として判定されるようになった.重症冠動脈疾患の治療としてのCABGとPCIの比較も長期予後改善という観点からCABGの有用性が評価されるようになった.治療については,患者の生命予後というハードエンドポイントを用いて有用性を評価することは可能であるが,検査,特にイメージングでは明らかなエンドポイントの設定ができないため有用性の証明は困難である.また,実臨床で多く使用されることが有用性を示す一つの指標ではあるが,医療においても経済効果が叫ばれるようになると,イメージングの分野においても各モダリティーがハードエンドポイントの観点から有効であることを示す必要が出てきた.非侵襲的な手法であるMSCTは,冠動脈病変の診断でCAGと同等な価値があることが示されたが,CAGを減少させることにはつながらず,むしろMSCTの増加とともにCAGは増加している.検査が増加することで予後の改善や治療費の軽減がもたらされるのであれば医療経済上のメリットが生まれるが,現状ではむしろ,PCIの増加を招いている.これが最終的に予後を改善していればよいが,残念ながらそれを示す事実はない.IVUSやOCT,血管内視鏡などの血管内イメージングもわが国では多用されているが,予後の改善や医療費の抑制という目に見える明らかなベネフィットは示されていない.では,イメージングは役に立たないのか? 本特集では,血管内イメージングの各種モダリティーの有用性についてそれぞれの分野における第一人者に述べてもらった.通常のイメージングの特集と違ったニュアンスを感じてもらえれば幸いである.
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