Japanese
English
特集 多方面からの肺高血圧症へのアプローチ
呼吸器疾患に合併する肺高血圧症
Pulmonary Hypertension due to Lung Diseases
辻野 一三
1
Ichizo Tsujino
1
1北海道大学病院第一内科
1First Department of Medicine, Hokkaido University Hospital
pp.1110-1116
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102359
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はじめに
呼吸器疾患に合併する肺高血圧症は表1に示す様々な呼吸器疾患を基礎として発症する1).なかでも慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)や間質性肺疾患に伴うものが多い.他群の肺高血圧症と比較して,本群の肺高血圧症では発症機転として肺血管床の減少や低酸素性肺血管攣縮の寄与が大きいことが特徴である.診断においては併存する肺疾患により息切れなどの症状がマスクされる難しさがあり,治療では血管拡張薬による低酸素血症の増悪やエビデンスに基づく治療の欠如などが課題である.また肺実質障害が比較的軽度ながら高度の肺高血圧を呈する群(“out of proportion” PH)が病態の面だけでなく,診断および治療の面でも注目されている.
本稿では最初にCOPD,間質性肺炎,および気腫合併肺線維症に合併する肺高血圧症について概説する.次に第3群肺高血圧症に対する肺動脈性肺高血圧症治療薬の使用について当施設でのデータを交えて述べ,最後に特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)に対するエンドセリン受容体拮抗薬(アンブリセンタン)の効果を検証したARTEMIS-IPF2)について概説する.
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