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特集 血圧の調節機構を再考する
心不全例における血圧調節機構
Blood Pressure Regulation in Heart Failure
廣岡 良隆
1
Yoshitaka Hirooka
1
1九州大学大学院医学系研究科・循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
pp.333-338
発行日 2000年4月15日
Published Date 2000/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902069
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はじめに
心不全では一般に心拍出量が低下しているが血圧は若干低下しているか保たれている例が多い.これは末梢血管抵抗が上昇しているからである.心不全例における末梢血管抵抗の上昇は主として神経体液性因子の活性化による.その代表的なものが交感神経系の亢進とレニン—アンジオテンシン系の活性化である1〜5).これらの代償機序により血管収縮が生じ心不全患者の血圧は保たれている.また,バゾプレッシンも分泌が亢進しており,血管収縮のみならず体液量増加によって血圧を保とうとしている.しかし,一方これらの過剰な活性化は心不全という病態の悪循環を生じ予後の悪化につながっている.1980年代に血管拡張薬による治療の導入により従来の治療法が見直され,さらに近年のアンジオテンシン変換酵素阻害薬,β遮断薬による予後の改善効果はこれらの神経体液性因子の活性化を抑制することが重要であることを強く示唆するものである3).
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