書評
―髙橋雅士,上甲 剛,高橋康二,栗原泰之,田中伸幸 編―胸部画像診断スタンダード
本田 浩
1
1九州大学大学院医学研究院 臨床放射線科学分野
pp.702
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102287
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胸部領域での画像診断の中心が,胸部X線写真とCTであることは周知のとおりである.30数年前,放射線科医になりたての頃,Felsonを何度読んでも胸部X線写真が十分に理解できなかった.その後,高分解能CT(HRCT)画像の出現や伸展固定肺を用いた病理所見との比較を目の当たりにして,HRCT画像の精度の高さに驚き,胸部画像診断の奥深さと面白さを実感した.振り返って胸部X線写真をながめると,それまで見えなかったものが見えてきたような気になった.
本書の発想は,「コンパクトで実践的な書」がベースになっている.日常臨床で高頻度に遭遇する胸部疾患を網羅し,胸部領域の非専門家でも気軽に利用できるテキストとなっている.放射線科専門医および放射線診断専門医のための「新しいガイドライン」を踏まえて,その目的に沿うように,疾患が選択され,症例ごとに,放射線科専門医レベル,放射線診断専門医レベル,指導医レベルの表示がある.専門医試験をこれから受験する諸君にとっては,受験するための知識の目安に役立つ.全10章から構成され,腫瘍,縦隔疾患,感染症,びまん性疾患,血管性疾患,胸膜疾患,外傷,先天性疾患など,胸部領域で知っておくべき多くの疾患について解説されている.疾患ごとに,重要項目(Essentials)を押さえた後,臨床的事項,病態生理・病理像,画像所見の順に記述され,画像はいずれも,胸部X線写真とCT画像が示されている.全ての疾患で同様の配列がなされているため読みやすい.
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