巻頭言
三歩進んで二歩退がる
森野 禎浩
1
1岩手医科大学内科学講座循環器内科分野
pp.703-704
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102279
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冠動脈インターベンション(PCI)は,この数十年間で劇的に進歩した.およそ十年サイクルで進む,大きなイノベーション.薬物溶出性ステント(DES)も第2世代で成績が極めて安定し,生体吸収性ステントの治験も国内で始まろうとしている.新たなブレークスルーの予感だ.
その反面,厳しい現実も直視せねばならない.デバイス開発・改良はステント血栓症と再狭窄を減らすことを主眼としてきたが,心臓死・心筋梗塞などのハードイベント抑制にダイレクトに繋がるものではなかった.現世代DESは十分成熟しており,これ以上劇的な成績改善は今の発想のアプローチでは見込めそうにない.また,複雑三枝病変に対するPCI後の心筋梗塞や心臓死の発生率は冠動脈バイパス術(CABG)より高いという報告も相次ぐ.右肩上がりのはずだった成長の勢いにすっかり陰りが見えている.それが現状である.
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