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COPDと栄養障害に関する最近の話題(ガイドラインを中心に)
[1] COPDにおける栄養研究の歴史
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)の栄養障害に関しての研究の歴史は古く,1970年代には呼吸不全と栄養障害の関連が研究されている.COPDの概念確立後は,呼吸不全のなかでもCOPDに栄養障害が多いことに注目され研究が発展した.その後,1990年代から各国でCOPDのガイドラインが作成され,そのなかにも栄養障害との関連が記載されてきている.それらの集積に基づきGOLD委員会により編纂されている最新のGlobal Initiative for Obstructive Lung Disease1)(最新版は2011年12月にup dateされたので以後GOLD 2011とする)では安定期COPDの管理に併存症のモニターの重要性を指摘しており,併存症としては表1に記載する項目を列挙している.改訂前の2008年版では悪液質・骨格筋の消耗・骨粗鬆症と栄養不良関連の3項目がsystemic effectとして挙げられていたが,今回の改定で骨粗鬆症のみになり,逆に心血管病変との併存が注目され,それに伴いメタボリックシンドロームと糖尿病という過栄養の項目が取り上げられた.しかし,栄養不良が大きな問題であることには変わりなく,平成20年度の厚生労働省呼吸不全研究班(班長:三嶋理晃)の調査2)でもやや軽症・中等症に偏った患者群(約7割)ではあったが,body mass index(BMI)が20kg/m2未満の体重減少が約30%を占めていた.さらに体重減少は閉塞性換気障害の重症度と関連しており,対標準1秒量(%FEV1)が30%未満の最重症患者では約60%と高率に体重減少が認められている.
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