Japanese
English
Bedside Teaching
呼吸器疾患における栄養管理の実際
Nutritional Support in Patients with Respiratory Disease
吉川 雅則
1
,
木村 弘
1
Masanori Yoshikawa
1
,
Hiroshi Kimura
1
1奈良県立医科大学内科学第二講座
1Second Department of Internal Medicine, Nara Medical University
pp.997-1005
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100886
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はじめに
慢性呼吸器疾患で体重減少がしばしば認められることは以前より知られていたが,避けがたい疾患終末像と理解されていた.しかし,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)では体重が肺機能とは独立した予後因子であることが明らかにされ,その臨床的重要性が広く認識されるようになった1,2).近年,COPDの“systemic effects”が注目されており,全身性疾患としての病態評価が重視されつつある.2006年に改定されたGlobal Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD)のガイドラインにおいても,個々の患者の重症度を規定しうる“extrapulmonary effects”を伴うことが新たな概念として提唱された1).主要なsystemic effectとして,栄養障害,全身性炎症,骨格筋機能障害が挙げられる3).これらは相互に密接に関連しながら全身性疾患としての病態を形成しており,労作時呼吸困難などの自覚症状とともにCOPD患者に大きなインパクトを与えている.ゆえに,全身性疾患としての治療戦略を構築すべきであり,栄養管理も重要な対策の一つとなる.
本稿では,呼吸器疾患の栄養管理に必要な栄養評価法を概説し,COPDにおける栄養障害の実態と原因,およびそれらに基づいた栄養指導の実際について述べる.
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