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特集 抗凝固薬の新展開
心房細動における各国のガイドライン:新規経口抗凝固薬時代を迎えて
Guidelines of Antithrombotic Therapy including Novel Oral Anticoagulants for Atrial Fibrillation in Each Country
矢坂 正弘
1
Masahiro Yasaka
1
1国立病院機構九州医療センター脳血管センター脳血管・神経内科
1Department of Cerebrovascular Diseases, Cerebrovascular Center and Clinical Research Institute, National Hospital Organization Kyushu Medical Center
pp.434-443
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102216
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はじめに
本邦では50年にわたって経口抗凝固薬としてワルファリンのみが用いられてきたが,2011年から抗トロンビン薬や抗Ⅹa薬などの新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulants;NOAC)が相次いで登場している1~4).NOACはワルファリンと比較して,吸収が早く,半減期が短く,食物の影響を受けず,薬物の相互作用が少ない.頻回なモニタリングが不要で,脳卒中と全身塞栓症の予防効果はワルファリンと同等かそれ以上,大出血発現率はワルファリンと同等かそれ以下,頭蓋内出血発症率はワルファリンより大幅に少ない.このような観点からNOACはワルファリンと比較して一歩前進した抗凝固薬である5~7).しかし,①出血性合併症の緊急対処法,②脳梗塞急性期のrt-PA血栓溶解療法の可否,③適正使用の徹底,④出血や虚血のリスク評価方法,⑤周術期の管理などの問題点が指摘されている.これらの問題点に対処しつつ,各NOACやワルファリンを使い分けていく時代にわれわれは足を踏み入れている.本稿では,非弁膜症性心房細動に対する抗血栓療法に関する日本,アメリカ,カナダ,ヨーロッパのガイドラインを,脳梗塞のリスク評価方法,抗凝固薬の選択方法,大出血のリスク評価方法,および抗血小板薬の位置づけなどに注目しながら概説する.
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