Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
2013年2月にアピキサバンが発売され,新規経口抗凝固薬もダビガトラン,リバーロキサバンを含め多剤の選択が可能となりつつある.わずか2年前まではまだ経口抗凝固薬といえばワルファリン単独の時代であったのに隔世の感がある.ワルファリン単独の時代には,豊富なエビデンスからそのベネフィットとリスク,薬剤相互作用,食事の影響,出血時の対応などガイドラインにも詳細に記されていた.これは,ワルファリンが使いづらい薬剤(difficult to use)の代表であるがゆえに先人が多くの工夫を重ねエビデンスを積み上げてきたからに他ならない.一方,新規経口抗凝固薬は,ワルファリンに比べて食事の影響がなく,他剤相互作用が少ないこと,至適投与量に個人差が少ないこと,効果判定のための採血を必要としないこと,頭蓋内出血が激減することなど多くの利点がある.ただ,実臨床での経験が浅く,モニタリングの意義,腎機能への留意,中和薬がないこと,重篤な出血合併症に対する対応法などまだまだ課題は多い.この企画では,まず各薬剤の選択に当たって必要な薬理学的知識を得るため,この分野で第一人者である小嶋先生にわかりやすく解説をお願いした.また,われわれ循環器内科医にとって,治験でも常に先行して臨床スタディーが行われる整形外科分野での臨床応用と問題点の解説は大変有益であると考え,整形外科医の冨士先生に御執筆をお願いした.循環器内科領域では非弁膜症性心房細動を対象に新規経口抗凝固薬が使用されているが,そのなかでは最初に発売されたダビガトランにつき2年の臨床経験をもとに,その使い方と注意点の実際を山下先生から教えていただくこととした.リバーロキサバンについては,ROCKET AF試験で他の試験に比べて脳梗塞既往症例のエントリーが多く,脳内科の立場より内山先生に臨床試験の結果ならびにその適応につき,またアピキサバンについてはARISTOTLE試験の主要研究者の1人である後藤先生より今後の展開につき解説をいただいた.また,新規経口抗凝固薬の開発により各国のガイドラインはどのように対応したかにつき,循環器学会ガイドライン委員である矢坂先生に比較検討をお願いした.現在,エドキサバンについても治験終了段階を迎えており,今後さらに新規経口抗凝固薬の使用比率は増えて行くであろう.より多くの心房細動患者により適正な抗凝固薬の使用をめざして,この企画が先生方の診療のお役に立てれば大変うれしく思う.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.