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Current Opinion
急性肺血栓塞栓症の危険因子
Predisposing Factors for Acute Pulmonary Thromboembolism
花岡 正幸
1
Masayuki Hanaoka
1
1信州大学医学部内科学第一講座
1First Department of Medicine, Shinshu University School of Medicine
pp.274-278
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102177
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急性肺血栓塞栓症の危険因子
肺血栓塞栓症は,下肢や骨盤内の深部静脈血栓が剥離して肺動脈に到達し,その閉塞を来す病態である.発症から概ね2週間以内のものを急性とする.血栓の大きさや閉塞部位,その数などにより,多彩な臨床所見を呈する.肺血栓塞栓症は深部静脈血栓症に併発することが多く,同一病態であるため,両者を合わせて静脈血栓塞栓症と呼ぶ.血栓形成の成因は,約150年前に提唱されたVirchowの三要素(Virchow's triad:①血流の停滞,②血管内皮障害,③血液凝固能の亢進)に集約され,現在も変わらない.しかし,同一の病態に複数の要素が関連する場合も稀ではない.表1に肺血栓塞栓症の危険因子を示す.
動かないこと(不動:immobilization)は,最も重要な肺血栓塞栓症の危険因子であり,わずか1~2日で発症の頻度が高くなる.不動による肺血栓塞栓症の65%は,2週間以内に発症している1).また,航空機旅行者の静脈血栓塞栓症は,非旅行者に比べ,2.8倍の高頻度である2).
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