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Medical Current of
肺血栓塞栓症—疫学/危険因子/症状/検査所見/診断/治療と予防/発症時の対応
鈴木 勝
1
,
杉本 恒明
2
1公立学校共済組合関東中央病院内科
2公立学校共済組合関東中央病院
pp.1151-1155
発行日 2000年12月1日
Published Date 2000/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903633
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肺血栓塞栓症とは
肺血栓塞栓症は,体静脈系の塞栓子が血流に乗って運ばれ右心房,右心室をへて肺動脈に詰まることによって起こる.塞栓子は骨盤や下肢の深部静脈にできた血栓(深部静脈血栓)に由来する場合がほとんどで,上肢の静脈血栓が原因となることはまれである.特殊なものとして空気や脂肪,腫瘍などが塞栓子となることがあり,それぞれ空気塞栓,脂肪塞栓,腫瘍塞栓と呼ばれる.
肺動脈が塞栓子で閉塞すると下流にある肺毛細血管の血流が途絶する.その部分でのガス交換が障害され,また肺の血流の分布も変わるため低酸素血症となり呼吸困難を生じる.肺塞栓が広汎に起こると左心系へ流れる血流も減少しショック状態となり突然死する場合もある.
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