Japanese
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特集 COPDの最新の話題
発生機序
Mechanism of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
別役 智子
1
,
宮崎 雅樹
1
Tomoko Betsuyaku
1
,
Masaki Miyazaki
1
1慶應義塾大学医学部呼吸器内科
1Division of Pulmonary Medicine, Keio University School of Medicine
pp.1021-1027
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102064
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はじめに
慢性閉塞性肺疾患(COPD;chronic obstructive pulmonary disease)はタバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺を主座とする炎症性疾患であり,肺胞壁の破壊による気腫性変化と粘液の過分泌を伴う中枢気道の慢性的な炎症による慢性気管支炎が様々な割合で複合的に作用することにより起こる完全には可逆性ではない進行性の閉塞性換気障害を特徴とする.
COPDの最大の危険因子は受動喫煙も含めたタバコ煙であるが,粉塵曝露や大気汚染物質,化学物質,低出生体重,幼年期の重篤な感染歴,加齢,気道感染の反復なども危険因子となる.COPD患者の約90%は喫煙者であり全喫煙者の内15~20%がCOPDを発症する.COPDの発症率は年齢や喫煙の曝露量とともに増加し高齢喫煙者では約50%にCOPDが認められる.このようにすべての喫煙者がCOPDを発症する訳ではなく,COPDになりやすい喫煙者となりにくい喫煙者が存在すると考えられている.これはタバコ煙への感受性を決定する遺伝子に起因すると想定されており感受性遺伝子に関しても様々な検討がなされている.またCOPDの発生機序として古典的なプロテアーゼ・アンチプロテアーゼ仮説のみではCOPDの発生をすべて説明することはできず前述の遺伝的素因に加えアポトーシスや老化,ビタミン欠乏などの関与が考えられ,さらに近年COPDの自己免疫機序に関しても注目が集まっている.本稿では最新の論文と知見を中心に解説し現状の問題点と今後の展望について触れたい.
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