Japanese
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特集 中毒性脳障害—第4回脳のシンポジウムより
B・有機水銀中毒と脳障害
水俣病の発生機序
Mechanism of the Minamata Disease Outbreak
喜田村 正次
1
Shoji Kitamura
1
1神戸大医学部公衆衛生学
1Dept. of Public Health, Kobe Univ. School of Med.
pp.135-140
発行日 1969年4月25日
Published Date 1969/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904590
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I.はじめに
水俣病の病像は,すでに前世紀から報告されている低級アルキル水銀中毒症1)のそれと何ら異なるものではない。それにもかかわらず本中毒症を殊更に水俣病と呼び,またMinamata diseaseとして世界的に注目された所以は,多数の死者,廃疾者を出して大きな社会問題になつたことにもよるが,むしろ本疾患の特異な発生機序にもとづくといえよう。
疫学像は多発疾患像の一つとして極めて重要であるが,水俣病では単に患者の性別年齢別分布など古典的疫学像が知られているにとどまり,疫学像の一部をなす発生機序に関してはほとんど知られていない。これを明らかにすることは水俣病の本態ならびに原因毒物の汚染源を一層明確にし,疫患像を完全なものとすることになろう。
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