Japanese
English
特集 新しい肺炎の概念:医療・介護関連肺炎
医療・介護関連肺炎の治療
Treatment of Nursing and Healthcare-associated Pneumonia
石田 直
1
Tadashi Ishida
1
1倉敷中央病院呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Kurashiki Central Hospital
pp.583-588
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101977
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はじめに
医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare-associated pneumonia;NHCAP)は,2011年8月に日本呼吸器学会がガイドラインとして発表した,新しい疾患概念であり1),欧米でのHCAP(healthcare-associated pneumonia)の概念2)を日本の実情に合わせて変更したものである.NHCAPの定義は,表1に示すような1)長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している,2)90日以内に病院を退院した,3)介護を必要とする高齢者,身障者,4)通院にて継続的に血管内治療(透析,抗菌薬,化学療法,免疫抑制薬などによる治療など)を受けている,のいずれかに該当する患者に発症した肺炎と定義される.NHCAPは市中肺炎に比して,概して重症であり死亡率も高い.また薬剤耐性菌の検出される率も増加する.NHCAPの主たる患者は基礎疾患を有する高齢者であり,全身状態が不良であることが多い.そのため,誤嚥はNHCAP患者において非常に大きな要因である.現在,市中病院や診療所が扱う肺炎の相当数がNHCAPに含まれ,社会の高齢化に伴い,今後ますます患者は増加していくことが予想される.NHCAPの診療においては,単に感染症としての肺炎を治療するのみならず,患者の社会的背景も考慮した対応が必要とされる.本稿では,日本呼吸器学会のNHCAPガイドラインに準拠して,NHCAP患者の治療について述べてみたい.
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