Japanese
English
特集 呼吸器感染症―最新の話題
肺炎桿菌
Klebsiella pneumoniae
石田 直
1
Tadashi Ishida
1
1倉敷中央病院呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine,Kurashiki Central Hospital
pp.131-135
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100248
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae,以下K. pneumoniae)は,腸内細菌科のKlebsiella属に分類されるグラム陰性通性嫌気性桿菌であり,運動性,インドール反応,MRテスト,硫化水素産生性,10℃発育性などはいずれも陰性である.本菌は莢膜多糖体を産生し寒天培地上で粘稠なムコイド型のコロニーを形成する.莢膜は臨床検体のグラム染色にても容易に判別でき,これが殺菌抵抗性の増強,白血球貪食抵抗性に関与して病原性を発揮する.
K. pneumoniaeは呼吸器感染症,尿路感染症,胆道感染症,髄膜炎などの起炎菌として検出される.特に呼吸器感染症においては古典的な劇症肺炎(Friedländer肺炎)の起炎菌として有名であったが,ニューキノロン系薬や第2,第3世代セフェム系薬が抗菌力を示すため分離率は減少していた.ところが,1980年代後半より欧米を中心としてセフォタキシム(CTX)やセフタジジム(CAZ)などの第3世代セフェム薬を加水分解する酵素を産生するいわゆるextended-spectrum β-lactamase(ESBL)産生菌の分離が増加して問題となっている.
本稿では,各種呼吸器感染症における肺炎桿菌の頻度と治療および耐性の問題について述べる.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.