Japanese
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特集 新しい肺炎の概念:医療・介護関連肺炎
医療・介護関連肺炎の予防
Prevention of Nursing and Healthcare-associated Pneumonia
門田 淳一
1
Jun-ichi Kadota
1
1大分大学医学部総合内科学第二講座
1Department of Internal Medicine Ⅱ, Oita University Faculty of Medicine
pp.589-593
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101978
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はじめに
医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare-associated pneumonia;NHCAP)の予防は誤嚥の予防とワクチンによる予防とに大きく分けられる.NHCAPにおける誤嚥性肺炎の占める割合は明確なエビデンスは現時点では十分ではないが,高齢者になればなるほど肺炎全体に占める誤嚥性肺炎の頻度は高くなり,80歳以上になると約80%ほどが誤嚥性肺炎とされ,また入院した市中肺炎における誤嚥性肺炎の頻度も60%以上と報告されている1).NHCAPの多くが高齢者ということを考慮するとNHCAPにおける誤嚥性肺炎の頻度は高いと考えられる.
一方,NHCAPの定義に相当する集団におけるわが国の原因菌の報告では,院内肺炎でみられる緑膿菌や肺炎桿菌などに加えて,市中肺炎の原因菌で重要である肺炎球菌も市中肺炎とほぼ同じ頻度で認められており(表1)2~4),また肺炎球菌性肺炎は菌血症を伴い重篤になることが多いことから肺炎球菌ワクチンによる予防も重要となる.
本稿では,2011年8月に日本呼吸器学会より刊行されたNHCAP診療ガイドライン5)における誤嚥性肺炎の予防とワクチンによる肺炎予防について,最近の報告も含めてその概略を述べることとする.
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