Japanese
English
特集 新しい肺炎の概念:医療・介護関連肺炎
序文
The New Concept of Pneumonia:Nursing and Healthcare-associated Pneumonia(NHCAP)
河野 茂
1
Shigeru Kohno
1
1長崎大学病院第二内科
1Second Department of Internal Medicine, Nagasaki University Hospital
pp.565
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101973
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- Abstract 文献概要
肺炎は昔から人類を苦しめてきた感染症であるが,戦後になって抗菌薬治療に代表される医療の発達や,栄養状態・衛生環境の改善により,その脅威は弱まってきたかに思えた時期があった.ところが,最近の30年間では日本人の死因に占める肺炎の割合は着実に増加しており,まもなく死因の第3位になることが危惧されるまでに状況は悪化している.
なぜ,医療が発達し,栄養状態や衛生環境も昔よりも格段に改善されている現代の日本で,過去の脅威と思われていた肺炎が再度問題化しているのであろうか.この原因の一つとして,超高齢社会や医療技術の進歩に伴い,従来の市中肺炎,院内肺炎といった枠組みでは捉えにくい,新しい肺炎群の存在が挙げられる.この第3の肺炎群は,潜在的には数多くの肺炎症例が含まれると考えられるが,市中肺炎,院内肺炎という2つの大きな肺炎群の影に隠れて,これまでは見過ごされてきた肺炎群だったのである.
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