Japanese
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特集 気管支喘息の最新の話題
重症喘息の治療展開
Management of Severe Asthma
藤井 偉
1
,
田中 裕士
1
,
高橋 弘毅
1
Masaru Fujii
1
,
Hiroshi Tanaka
1
,
Hiroki Takahashi
1
1札幌医科大学第三内科
1Third Department of Internal Medicine, Sapporo Medical University School of Medicine
pp.167-172
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101888
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はじめに
喘息の難治化・重症化には多様な要因の関与があり,各々に対するテーラーメイド治療が必要と思われる(表1).好中球性気道炎症の存在は,重症喘息症例の臨床的特徴を横断的研究結果からまとめたENFUMOSA Studyでも確認され,その治療開発は気道リモデリングに対する治療と並び,今後の重要な課題であろう.最近,重症喘息の一部では気道でのIL-17の発現や産生が亢進し,IL-17の産生と好中球浸潤,喘息の重症度の間に正の相関を認めるとの報告もあり,IL-17は関節リウマチのみならず,重症喘息の新たな治療ターゲットとして有望かもしれない.
十分量の吸入ステロイド(inhaled corticosteroid;ICS)でもコントロールできない難治性・重症喘息が存在し問題となっているが,近年喘息治療薬の進歩として,抗体療法への期待が高まってきている.これらの薬剤は重症喘息の呼吸機能に対する影響は乏しいものの,増悪頻度の減少やQOLの改善といった効果が確認されている.表2に重症喘息の最新治療をまとめて示す.本稿では,本邦でも2009年より導入されている抗IgE抗体(オマリズマブ)を中心に,抗体療法の知見について概説する.
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