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特集 肺高血圧症の新しい展開
小児の特発性肺動脈性肺高血圧症治療の進歩
Recent Advance in Pediatric Pulmonary Arterial Hypertension
中山 智孝
1
Tomotaka Nakayama
1
1東邦大学医療センター大森病院小児科
1Department of Pediatrics, Toho University Omori Medical Center
pp.19-25
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101863
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はじめに
肺動脈性高血圧症(pulmonary arterial hypertension;PAH)の治療においては,1990年代以降劇的な進歩がみられる.最近,米国胸部疾患学会(American College of Chest Physicians;ACCP)から成人を対象としたPAH治療アルゴリズム(図1)が提唱された1).治療の基本は,抗凝固薬,利尿薬,酸素投与などの一般的支持療法と,PGI2製剤,ホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬,エンドセリン(ET)受容体拮抗薬の3つの特異的治療薬である(図2).小児においては大規模な臨床試験に裏付けられた十分なエビデンスの蓄積はないため,日常臨床ではACCPアルゴリズムや成人例での安全性・有効性のデータを参考に個々の症例へ応用しているのが現状である.
2008年Dana Pointでの国際会議で提唱された肺高血圧症(PH)の新臨床分類では,家族性PAHは遺伝性PAH(heritable PAH;HPAH)に包括され,家族内発症にかかわらず遺伝子異常(BMPR2,ALK1)を有する特発性PAH(idiopathic PAH;IPAH)もHPAHに含まれる.本稿では小児期に発症するIPAH/HPAHにおける臨床的特徴や最近の内科的治療について述べる.
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