Japanese
English
特集 肺高血圧症の新しい展開
PDE5阻害剤の長期効果に関する報告
Long-term Effects of Sildenafil as a First-line Drug for Pulmonary Arterial Hypertension
柳澤 亮爾
1
,
片岡 雅晴
1
,
佐藤 徹
1
Ryoji Yanagisawa
1
,
Masaharu Kataoka
1
,
Toru Satoh
1
1杏林大学医学部第二内科
1Second Department of Internal Medicine, Kyorin University School of Medicine
pp.11-17
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101862
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はじめに
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は進行性に肺血管抵抗が上昇し,不可逆的な右心不全へ移行し重篤な病態へと至る難治性の病である.1991年にエポプロステノール静注療法の有用性が報告され,その後も様々な作用機序を持つ経口薬が登場し,この十数年間の肺高血圧症に対する治療は飛躍的な進歩を遂げたといえる.PAHに対する主なクラスの治療薬は,プロスタグランディンI2(PGI2)製剤,ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤,エンドセリン受容体拮抗薬であるが,各々のクラスにも新薬が開発され選択肢が広がってきている.
現在使用できるPAHに対する最も強力な治療はエポプロステノール静注療法であるが,一方で植込み型カテーテルと携帯型ポンプを要し,カテーテル感染症のリスクなど患者のQOLに大きく影響を及ぼす治療である.
近年になりPAHに対する各作用機序に応じた治療薬が出揃い,PAH患者の予後は明らかに改善を認めている.その一方でエポプロステノール以外の薬剤の長期予後改善効果は明らかではない.われわれは2001年より大学倫理委員会の承認のもとoff-labelでPDE5阻害剤であるシルデナフィル治療を開始しており,その長期効果に関する調査を行った.
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