Japanese
English
綜説
気道の水分泌制御機構
Regulatory Mechanism of Water Secretion in Airway Epithelia
丸中 良典
1,2
,
新里 直美
1,2
Yoshinori Marunaka
1,2
,
Naomi Niisato
1,2
1京都府立医科大学大学院医学研究科細胞生理学
2平安女学院大学日本食育・健康研究所
1Department of Molecular Cell Physiology, Graduate School of Medical Sciences, Kyoto Prefectural University of Medicine
2Japan Institute for Food Education and Health, St. Agnes' University
pp.911-918
発行日 2011年9月15日
Published Date 2011/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101784
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はじめに
上皮組織は,イオン・栄養素を含む物質の経上皮輸送を介して体内環境維持に重要な役割を果たすとともに,外界からの感染に対する生体防御上のバリアーとして重要な機能を担っている.「外界からの感染に対する生体防御上のバリアー機能」を発揮している代表的な上皮組織として気道上皮がある.生体防御におけるバリアー機能を発揮するために,気道上皮組織は気道腔内に表面被覆層を形成し,外界からウイルスや細菌などの異物の侵入を防いでいる.
このバリアー機能発揮に重要な働きを担っている気道腔内表面被覆層を形成するために,気道上皮組織細胞は血管側(間質)から気道腔内へと細胞経由・傍細胞(細胞間隙)経由的に水を分泌している.水分泌(輸送)の重要な駆動力となるのがクロライドイオン分泌である.気道上皮を含めた経上皮のクロライドイオン分泌は,血管側にあるクロライドイオン輸送体を介したクロライドイオンの血管側(間質)から細胞内への取り込み過程と管腔側にあるクロライドイオンチャネルを介したクロライドイオンの細胞外(気道腔内)への排出過程から構成されている(図1).したがって,気道の水分泌制御機構の解明は,呼吸器の生体防御制御機構を考えるうえで重要なものとなる.すなわち,水分泌を制御するクロライドイオン分泌に関わるイオン輸送体やイオンチャネルの活性制御機構を解明するとともに,これらのイオン輸送体・イオンチャネルの制御因子を探索することが生体防御において重要である.
本稿においては,気道における水分泌の駆動力となるクロライドイオン分泌制御機構を概説する.
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